「分け目が目立つ」女性のヘアスタイル&根元ケア対策とは

「分け目が目立つ」女性のヘアスタイル&根元ケア対策とは

女性も40代頃になると、「髪の分け目が目立つようになった」、「頭頂部や髪の生え際が薄くなってきた」、「髪のボリュームが出なくなった」など、エイジングによる髪の悩みが増えてきます。そんな悩みを解決するために、目立つ分け目や薄毛をカバーするカットや自分でできるヘアスタイリングのテクニックをご紹介します。体の内側からのケアと外側からのケアも併せて実践していきましょう。

監修
「髪の毛が細くなったかも…」と思ったら知っておきたい、女性の髪が細くなる原因と対策

宮本 洋平先生
美容師、薄毛専門美容院TELAS、INTI代表、
日本薄毛デザイン協会代表理事

みやもと・ようへい 1977年兵庫県生まれ。「ヘアデザインで人生を変える」をコンセプトに、薄毛をカバーするヘアスタイルやテクニックを、個々のライフスタイルに合わせて提供する薄毛専門美容院を設立。著書に『常識破りの薄毛対応サロンワーク』(女性モード社)、『最速でバレずに気になる薄毛をカバーする』(すばる社リンゲージ)。

目次
分け目が目立つようになってきたエイジング世代こそヘアスタイルを見直そう
分け目が目立つようになってきたエイジング世代こそヘアスタイルを見直そう

女性は40代頃からホルモン分泌の変化や頭皮の血流の悪化などによって髪が細くなり、本数も減ってくるので、全体的にボリュームダウンして、頭皮(地肌)が見えやすくなってきます。その結果、「髪の分け目が目立つようになった」、「髪にコシがなくてペタンとしてしまう」、「ヘアスタイルが決まらなくなった」といった声がよく聞かれるようになります。

実は、こうしたエイジングヘアの悩みは、スタイリングでカバーすることができます。カット、ブロー、パーマなどで分け目や薄毛を目立ちにくくし、おしゃれも楽しめる方法をご紹介します。

カット……分け目が目立つ人におすすめ「レイヤーカット」
分け目が目立つ人におすすめ「レイヤーカット」

薄毛が気になると、できるだけ切らずに髪の厚みを残したいと思われるかもしれません。しかし、ワンレングスやAラインのヘアスタイルだと毛先にいくほど厚く見えて、逆に頭頂部の薄さが強調されがちです。

そこでおすすめなのが、薄くレイヤー(段)を入れて切る「レイヤーカット」。長さと重みのある髪の根元にボリュームを出すことには限界がありますが、レイヤーを入れることで上の方の髪が短く軽くなり、トップの立ち上がりが出しやすくなって、ふんわりとした仕上がりになります。

分け目が目立つ人におすすめ「レイヤーカット」
  • [Before]

    ワンレングスだと毛先が重く見え、ペタンとした印象に。分け目の薄さも強調されてしまう。

  • [After]

    顔回りにレイヤーを入れることで重心が毛先からトップへ移り、ふんわりとした丸みが出る。

レイヤーカットは、ショート、ミディアム、ロングと長さを問わずにできるのもメリット。レイヤーによってサイドの髪にも動きが出るため、華やかさもプラスされます。デザインのバリエーションも多いので、カットオーダーする時は、美容師さんに髪の悩みを話し、髪質や骨格に合ったデザインを考えてもらいましょう。

ブロー……分け目の目立たないふんわり
トップにするコツ

美容院では素敵に仕上がっても、家で同じようにセットするのは難しいのでは?と思われるかもしれません。でも、ブローのコツをつかめば、自分で簡単に、分け目が目立ちにくい“ふんわりトップ“を再現できます。

分け目を目立たせずに髪のボリュームを出すには、毛の流れと逆方向に髪を手ぐしで引き上げ、根元を立ち上げるように乾かすのがコツです。

ドライヤーは、ノズルを上に向けて上向きの風を当てるとボリュームアップ、下向きに当てるとボリュームダウンします。こめかみを境に髪を上下のパートに分け、上はボリュームを出して下は抑えることでトップのふんわり感が際立ちます。

分け目を目立たせずに髪のボリュームを出す髪の乾かし方:毛の流れと逆方向に髪を手ぐしで引き上げ、ドライヤーを下から上に向かって当て、根元から乾かす。

タオルドライした後、こめかみから上の髪を持ち上げ、反対側に引き上げるように流しながら、ドライヤーを下から上に向かって当て、根元から乾かす。左右それぞれ同様に行い、後ろの髪も前の方に引っ張りながら乾かす。

分け目を目立たせずに髪のボリュームを出す髪の乾かし方:こめかみから下の髪を軽く引っ張りながら、ドライヤーを上から下に向かって当てて乾かす。

トップの髪が長い人はヘアクリップで留めておき、こめかみから下の髪を軽く引っ張りながら、ドライヤーを上から下に向かって当てて乾かす。

なお、ヘアセットの前には軽くシャンプーをし、頭皮の汚れや余分な皮脂をとっておきましょう。頭皮がべたついていると髪同士がくっついて頭皮の透け感が強調されてしまい、ボリュームもうまく出ません。また、髪は少し濡れた状態からドライヤーを当てることで望みのヘアスタイルを形作りやすくなります。

目立つ分け目解消テクニック……分け目を消す!コームを使った「ジグザグテクニック」

トップの分け目が特に気になる人には、「ジグザグ分け」もおすすめです。直線で分けると地肌の白い部分が目立ちますが、ブローの後、コームでジグザグに分けてから自然に髪を下ろすと地肌が隠れ、分け目の薄さが目立たなくなります。

目立つ分け目解消テクニック。コームの柄の部分で分け目をジグザグに分ける

コームの持ち手の先を使い、分け目の髪を1cmから1.5cmのジグザグに分け取る。

目立つ分け目解消テクニック。分け取った毛束をいったん頭頂部に軽く持ち上げる。

分け取った毛束をいったん頭頂部に軽く持ち上げる。

目立つ分け目解消テクニック。毛束を左右にふわっと自然に下ろし、ヘアスプレーで固めて形をキープする。

毛束を左右にふわっと自然に下ろし、ヘアスプレーで固めて形をキープする。

ポイントは、毛量が少ない人ほどジグザグの幅を狭くすること。きっちりジグザグにせず、ゆるやかに分けると自然に仕上がります。いつもセンターで分けている人は、6:s4くらいでアシンメトリーに分け目をつけてみるのもよいでしょう。

パーマ……分け目が気になる人には
強い味方に
パーマは分け目が気になる人には強い味方に

薄毛を気にする人の中には、髪にダメージを与えるからという理由でパーマを避けている人もいます。しかし、目立つ分け目や頭皮が透けて見えるのをカバーしたい人にとって、パーマはむしろ強い味方になります。

ストレートヘアではその表面積分しか頭皮をカバーしませんが、パーマをかけると1本1本が蛇行することによってカバーする面積が広くなり、髪のボリューム感もまったく違ってきます。頭頂部だけ、前髪だけなどピンポイントでかけることもでき、ヘアスタイルも崩れにくいので、ストレスフリー。薄毛の悩み改善に大いに貢献してくれます。おしゃれの選択肢の1つとしてパーマもありと覚えておきましょう。

毎日のヘアケアで、太い髪が育つ頭皮環境を整える
毎日のヘアケアで、太い髪が育つ頭皮環境を整える

分け目が目立つようになったら、毎日のヘアケアも見直しが必要です。エイジング世代が特に心がけたいのは、頭皮環境を整えること。頭皮環境の悪化により血流低下や乾燥、皮脂の過剰分泌や詰まりなどが起きると、ヘアサイクルが乱れて薄毛や抜け毛が進む可能性があります。例えるなら、頭皮は髪を育てる畑のようなもの。日ごろからきちんと手入れをして、太くしっかりとした髪を育てましょう。

正しいシャンプーの方法
  1. ①まず、ぬるま湯で髪と頭皮の汚れを洗い流す(予洗い)。
  2. ②シャンプーを手のひらで軽く泡立て、頭皮全体に均等になじませる。
  3. ③指の腹を頭皮に密着させて優しくマッサージするように洗う。
  4. ④洗い終わったら、すすぎ残しのないように丁寧に洗い流す。
  5. ⑤コンディショナーやトリートメントを使う場合は、髪のみになじませるようにする。
  6. ⑥洗い終わったら、しっかりタオルドライした後、ドライヤーで乾かす。
正しいシャンプーの方法

シャンプーも、頭皮の状態に合わせて見直してみましょう。理想的なのは、必要な皮脂は残しながら汚れを落とし、頭皮に適度なうるおいを与えてくれるもの。洗浄力の強いものは洗い上がりがさっぱりしますが、頭皮や髪に刺激が強いため注意が必要です。その点、アミノ酸系シャンプー(成分例:ココイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルアラニンNaなど)は、洗浄性と肌へやさしさのバランスがとれているものが多く、分け目が気になる人には選択肢の1つになります。

頭皮マッサージ……頭皮を柔らかくして、
血流をアップ!

手軽にできる頭皮ケアとしておすすめしたいのが、頭皮マッサージです。試しに、頭頂部や前頭部の頭皮に手を当てて動かしてみましょう。健康な頭皮は触ると柔らかく、よく動きますが、カチカチで動きにくい頭皮は血流が悪くなっていることがあります。頭皮マッサージを行い、頭皮を柔らかくして、血流アップを心がけましょう。シャンプーやスタイリングの時などについでに行う習慣をつけるとよいでしょう。

市販されている発毛剤……積極的なケアをプラスしたい人に

より積極的なケアを目指すなら、発毛剤を使用するのも一案です。

分け目が目立つようになったら、体の中からケアを
分け目が目立つようになったら、体の中からケアを

加齢による髪の変化は、程度の差こそあれ、だれにでも起こります。しかし、実際に分け目が目立つようになるかどうかには、睡眠やストレス、食事など日々の生活習慣が大きく影響します。中でも太い髪を育てるために女性が見直したいのが「食事」です。

女性に多い「かくれ貧血」やダイエットなどが髪を細くしてしまう原因になることがあるように、栄養状態が悪いと健康な髪は育ちません。髪にとって特に重要な「鉄」「亜鉛」「タンパク質」「ビタミンB群」の4つの栄養素は、女性に不足しがちな栄養素でもあります。毎日の食事でしっかり摂って、体の中からケアしていきましょう。

  • 鉄……血液の成分となって頭皮へ新鮮な酸素を運ぶ

    多く含む食品……レバー、赤身の肉、カツオ、イワシ、アサリ、ひじき、大豆、小松菜など

  • 亜鉛……細胞の生まれ変わりを促す

    多く含む食品……牡蠣、エビ、カニ、貝類、卵、イワシ、牛赤身肉、カシューナッツなど

  • タンパク質……髪の主成分であるケラチンの材料となる

    多く含む食品……肉類、魚介類、卵、乳製品、豆類、大豆食品など(※)
    ※1日50gを目安に、できるだけ幅広い食品から摂ることを心がけましょう。

  • ビタミンB群……代謝を高め、細胞を活性化する

    多く含む食品……豚肉、鶏肉、レバー、マグロ、ウナギ、玄米、小麦全粒粉、納豆、ブロッコリーなど

こんな食事はNG! 控えるべき食べ物や食習慣は?

次のような食事は髪にとってダメージとなりやすいので注意が必要です。

  • タンパク質

    糖質に偏った食事は「糖化」を進め、髪の成長に影響します。糖化とは体内で余った糖とタンパク質が結びつく現象で、そのまま糖が増え続けると、AGE(終末糖化産質)と呼ばれる悪玉物質が大量につくられます。AGEは老化を進める元凶として注目されている物質です。

    AGEが皮膚に蓄積されれば、細胞をつなぎ止めたり正しく並べたりする機能が低下してシミ、シワ、たるみとなり、肌は弾力を失ってくすんできます。同様に、頭皮にAGEがたまれば、健康な髪を生み出すことができなくなります。髪は8割がタンパク質からできているので、AGEの影響を受けやすい部位。高糖質なご飯、パン、麺類、菓子類などの摂り過ぎには注意が必要です

  • ビタミンB群

    高脂質で高カロリーな食べ物を摂り過ぎると、体内で十分に代謝ができずに余分な脂質が血液中に残り、ドロドロな血液を生み出して血流が悪くなる傾向があります。放置していると動脈硬化を引き起こし、さらに血流が悪くなって髪にも影響を与えてしまいます。

    ただし、脂質は細胞膜やホルモンの材料となるので、適量を摂ることが大切です。次のような「体によい油」を選んで摂ることが、健康な髪を育むことにつながります。

    • ・オレイン酸(オメガ9脂肪酸)……オリーブオイルなど
    • ・α-リノレン酸(オメガ3脂肪酸)……アマニ油、エゴマ油など
    • ・EPA・DHA(オメガ3脂肪酸)……魚油(サバ、イワシなど青魚に豊富)
    • ・中鎖脂肪酸……ココナッツオイル、MCTオイルなど
    • ・長鎖脂肪酸……バター、ギーなど

    逆に、控えた方がよい油は、マーガリンやショートニングに多く含まれるトランス脂肪酸です。トランス脂肪酸は動脈硬化を引き起こすリスクを高めることが報告されています。菓子パンやドーナツ、スナック菓子、ファストフードなどにはトランス脂肪酸が多く含まれるので、なるべく摂らないようにしましょう。

  • 鉄

    就寝の直前に食事を摂ると、血糖値が大きく変動し、それに反応して自律神経が乱れ、睡眠の質が低下します。それにより就寝中に分泌が高まる成長ホルモンの分泌が不安定になり、髪の成長に影響を与えてしまいます。

    夕食はできれば就寝の3時間から4時間前には済ませ、食事の内容も低糖質・高タンパクなものにしましょう。特に、脂肪の少ないひれ肉、鶏むね肉、魚、豆類などはおすすめです。

「分け目が目立つ」世代のヘアスタイル&根元ケア

気になる分け目の悩みは、カットやスタイリングで解決が可能です。今ある髪を活かして、存分におしゃれを楽しんでください。

併せて、頭皮環境を整えるヘアケアと、栄養バランスのよい食事によるインナーケアで、分け目が目立たないように健やかで太い髪を育てましょう。

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