発毛剤と育毛剤の違い、ご存知ですか?作用の違いと副作用の有無

混同されがちな発毛剤と育毛剤ですが、配合される成分、期待される効果や、どのような状態の人が使うべきかなど明確な違いがあります。その違いに論点を絞り、具体的に解説します。

<監修>
大橋 一樹
スミレ医院(皮膚科)院長。
日本皮膚科学会専門医。
日本抗加齢医学会認定専門医 他。
地域住民のかかりつけの皮膚科として、地域に根差した診療を行う。わかりやすく丁寧な診療が評判を呼んでいる。

― 目次

― 発毛剤と育毛剤の具体的な効果や概念の違い

発毛剤と育毛剤とはどちらも薄毛などの対策として使用されており、似たように思われますが目的や効果が異なります。

発毛剤は、毛髪の毛包(毛を作り出す場所:特に毛根)を活性化させて、髪が抜け落ちた頭皮に新しい髪を生やす効果があります。
発毛剤には「ミノキシジル 」という成分が入っており、日本では唯一、髪を生えさせる成分の外用薬として認可されております。

その一方で、育毛剤の効果としては、現在の髪がまだ生えている頭皮を清潔に保ち、髪が太く長く、より丈夫に育ちやすい環境を整えます。メカニズムとしては、薄毛の原因物質の生成を防いで、これ以上の薄毛(抜け毛を防ぐ)への対策に効果があります。こちらには、ミノキシジルは配合されておりません。

このような発毛剤と育毛剤の効果の違いは、発毛剤にだけ入っている「ミノキシジル」 という発毛成分によります。

― 発毛剤か育毛剤どちらを使えばいい?頭皮の状態別に解説

育毛剤と発毛剤とは、毛髪の状態や目的により使い分けることが重要です。
育毛剤は、残っている毛髪を育てて頭皮のコンディションを安定させます。このため毛髪のボリューム低下、毛髪の太さや強さが弱いということが気になる方は、育毛剤がおすすめです。

一方で、薄毛で頭皮が目立つ方、シャンプーや朝起きた時など脱毛が次第に多くなってきた方には発毛剤が推奨されます。主に壮年性脱毛症:男性型脱毛症(AGA)と考えられる経過であるため、ミノキシジルの効果が期待されます。

― 副作用はある?使用する上で事前に知っておきたいこと

発毛剤、育毛剤に共通する副作用としては、使用例の約10%程度でありますが、皮膚の炎症が起きて、頭皮のかゆみ、かぶれ、発赤があります。

また、ミノキシジルは降圧薬として開発された経緯があるため、高血圧がある方は注意が必要です。
次の人は使用前に医師又は薬剤師に相談するようにしましょう。

  • 今までに薬や化粧品などによりアレルギー症状(例えば発疹・発赤、かゆみ、かぶれ等)を起こしたことがある人
  • 高血圧の人、低血圧の人
  • 心臓又は腎臓に障害のある人
  • むくみのある人
  • 家族、兄弟姉妹に壮年性脱毛症の人がいない人
  • 高齢者(65歳以上)
  • 甲状腺機能障害(甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症)の診断を受けている人

これらの人は、発毛剤を使用中でも、ご自身の様子を観察しながら継続するようにしましょう。

― まとめ

育毛剤・発毛剤の違いは、壮年性脱毛症(男性型脱毛症:AGA)に対して効果がある「ミノキシジル」の有無 となります。薄毛が目立ってきている方は発毛剤を、髪のボリューム低下や質の向上としては育毛剤がおすすめです。気になる髪の状態や抜け毛の程度などによって、どちらを使用すべきか判断されると良いでしょう。